ノロウイルスの復職期間
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学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症の解説」
日本小児科学会 予防接種・感染対策委員会2013 年9 月改訂版
http://www.jpeds.or.jp/uploads/files/saisin_1101181.pdf
登校(園)基準:症状のある間が主なウイルスの排泄期間なので、下痢、
嘔吐症状が消失した後、全身状態のよい者は登校(園)可能であるが
、手洗いを励行する。

http://www.kansensho.or.jp/sisetunai/2008_3_pdf/13.pdf
Q42(ノロウイルス、マニュアル)
1.調理員、又その家族がノロウイルスに感染した場合の復職にあたり症状軽
快消失後、何日(何時間)で可能とするべきでしょうか。貴学会相談窓口Q-27
に対するA-27では、調理に携わる者については…として、復帰の目安につい
ての詳記がありませんでした。

2.復帰後、調理義務に従事しない期間として1ヵ月間とすること適当でしょ
うか。

3.他調理員についてのノロウイルス感染、また感染性胃腸炎罹患時の対応の
注意点があればご教示下さい。 4.ノロウイルス感染者が調理員から出た場
合の院内での給食提供の継続の可否についてもご教示下さい。

A42
昨年、全国でノロウイルスのアウトブレイクが多発し、調理職員が原因と考
えられる病院給食による事例もあることから、ノロウイルスが検出された調理
職員への対応が問題となっています。食品取扱者の衛生管理上の一般的な注意
点については、厚生労働省のノロウイルスに関するQ&A(最終改定:平成19年3
月7日)
(http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/yobou/dl/040204-1.pdf)の
Q17をご参照ください。

1および2.

調理職員の病院への復職、調理業務再開の時期については、上記のQ&Aも含め
て、現時点では明確な基準がないのが事実です。RT-PCRのような高感度の遺伝
子検査では、症状消失後も1週間以上、長い例では3か月間もウイルスが検出さ
れる場合がありますが、その感染性は不明です。この点については、最近使用
できるようになったEIAなどの別の検査法での評価も未だ不十分です。

まず大事なことは、調理職員やその他の職員に対して、ノロウイルス感染症や
他の感染性胃腸炎についての十分な教育を行うことです。

調理職員の場合は、少しでも症状が出現した際に速やかに責任者に報告し、症
状がある期間は調理業務から離れる必要がありますが、正直に報告できる環境
作りが大切です。

次に、上記のような症状消失後の長期間のウイルス排泄については、トイレの
後の確実な手洗いや衛生的な調理が守られていれば、食品にウイルスが混入す
る可能性は極めてまれと考えられます。

したがって、高感度のウイルス検査で陽性の場合も、便から食材へのウイルス
が伝播されなければ給食によるアウトブレイクは防げることになります。

上述のように、症状軽快後の復職時期や調理に従事しない期間については未だ
明確な指針は出ていません。過剰な制限は現実的でない場合がありますので、
当面はあらかじめ地域の保健所や食品衛生課などと相談して、それぞれの期間
を設定されることをお勧めいたします。

3.ノロウイルス感染症を含む感染性胃腸炎は、感染していても症状を示さな
い不顕性感染があり得ますので、調理職員は自分自身が感染しないように日常
的に自覚を持つことが重要です。家庭に小児や介護を要する高齢者がおり、下
痢・嘔吐等の症状がある場合などは、汚物処理やトイレ・風呂等を衛生的に保
つ工夫が必要です。また、日常の手洗いを徹底するとともに、食品に直接触れ
る際には使い捨ての手袋を着用するなどの注意が必要です。病院の責任者は調
理責任者とともに、調理室や調理職員用のトイレなどの衛生環境の整備を徹底
し、調理職員の衛生的な調理、まかない食の衛生的な調理、ドアノブなどの手
指の触れる場所の消毒などの対策をマニュアル化し、その順守のチェックを行
うことが必要です。

4.ノロウイルス感染症は急激に発症する場合があります。調理中に職員が発
症した場合などは、給食の食材が汚染された可能性が高いため、速やかに給食
提供は中止すべきと考えられます。このような場合に備えて、近隣の病院との
給食の相互提供のネットワーク、病院以外の給食業者からの給食提供システム、
院内の非常食の提供システムなどを複数構築されることをお勧めいたします。

http://www.kansensho.or.jp/sisetunai/2007_11_pdf/18.pdf
Q−40 (職業感染予防策)
ノロウイルスとカンピロバクターの各々の、院内感染対策の解除時期、基準
についてご教授下さい。職員(看護師、医師)と患者の同時多発発症の場合を
想定しています。
特にノロウイルスは症状消失後、1ケ月位は排菌があるとの記載も有り、職
員が発症した場合、休職させる訳にもいきませんし、一応1ケ月間、感染対策
(接触感染対策+標準予防策:当院では2時間毎の次亜塩素酸による環境面の
消毒等が基準になっています。)をしながら、勤務させる形を想定しています。
ノロウイルスとカンピロバクターの各々の場合についてご教授下さい。

A−40
ノロウイルスやカンピロバクターは感染性の高い病原体として知られ、その
対策、対応は重要です。しかしながら、ご質問の院内感染対策の解除時期、基
準について統一されたきまりはなく、各病院での事情を考慮した対応になると
考えます。
以下にその考え方を記載します。
(ノロウイルス)
ノロウイルスの潜伏期は24〜48時間程度と短期ですが、症状消失後通常は1
週間、長いと1ヶ月程度ウイルスが排泄されることが知られています。このた
め調理師など直接食品を取り扱う人においては1ヶ月に近い長期の職務制限と
いうことになると思われます。医師や看護師においては症状消失後、1週間程
度は休ませるということが理想でしょう。しかし現実的には症状消失後1週間
休職させることは困難と思われますので、

a 徹底した手洗いの励行、
b 食事介助などはしない、
c 患者と濃厚に接触する作業に従事させない、等の条件で、
症状消失後から勤務に復帰させるということもやむをえないのではないかと思
われます。これらの条件の遵守期間は症状消失後、できれば1ヶ月、最低でも
1週間とすべきでしょう。

(カンピロバクター)
カンピロバクターの場合は、軽症では対症療法のみ行うことが一般的ですが、
無治療の場合2〜5週間排菌がある場合があります。したがって医療従事者な
ど二次感染を起こす危険性のある場合は抗菌薬(マクロライド、フォスフォマ
イシンなど)を投与し、除菌を行う必要があるでしょう。ほとんどの場合適切
な抗菌薬投与により48時間後には除菌されると考えられています。職場復帰に
ついては、便培養を2〜3回施行し、カンピロバクター陰性を確認した後が理
想です。しかしながら、前述しましたように長期の休職は困難と思われますの
で、
ノロウイルスの場合と同様、
a 徹底した手洗いの励行、
b 食事介助などはしない、
c 患者と濃厚に接触する作業に従事させない等の条件で、症状消失後
から勤務に復帰させるということもやむをえないと思います。カンピロバクター
の場合のこれら条件の遵守期間は、便培養陰性確認までと考えます。

 患者については両病原体ともに症状消失後は退院ということになります。他
の疾患で引き続き入院している場合は、前述したようにノロウイルスでは症状
消失後1ヶ月、カンピロバクターでは便培養にて陰性確認までの期間、接触感
染対策を徹底するということになると考えます。

集団発生時例
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Mホテルにおけるノロウイルスによる集団胃腸炎の発生について
http://idsc.nih.go.jp/iasr/28/325/pr3251.html
ノロウィルスの感染力の強さ 3つの事例から

http://d.hatena.ne.jp/ohira-y/20100220/1266672216